(11)新チーム発足、一年生はボール係 近江 達
新チーム発足、一年生はボール係
 その年のチームはうまかったけれども、県大会で優勝出来ず、五年生は引退した。二学期に四年生二人がトップの新チームに切り替わり、我々一年生も末席ながら上級生と一緒に上の西グラウンドで練習することになった。
 校門の前の石段を降りた所に河童(かっぱ)と呼んでいた靴屋があって、蹴球部の溜り場になっていた。放課後、一年生は河童に直行、軟らかいボールがあると空気入れに取り掛かった。革ボールの中のゴムチューブに空気を入れたら、筒状の空気入れ口を二つ折りして紐でしばって中に押し込み、紐通しを使い革紐で外側の革ボールの口を綴じると一個出来上がり。今のボールと違うので手数がかかった。出来あがったボールを上のグラウンドに持って行ってゴールネットを張り、練習が終わると、ネットを外してボールを河童に持って帰る。それが我々一年生の仕事だった。

上級生との練習
 上級生とのトレーニングは、初めにグラウンドを何周かしてから、スタートとターンをやり、それからボールを使う練習に入った。
 スタートは後ろ向きから笛で反転して20メートルくらいダッシュ。今のようないろんな姿勢や動作からのスタートはなかった。スタートでの反転の仕方は自由だから好きなやり方でのスタートになった。しかし試合では苦手なスタートも必要だから、枚方FCでは、時計回りからと反対回りからと、両方を必ずやるようにしている。
 どこでもよくやる100メートル・ダッシュを何本といった訓練は記憶にない。筋力アップ的体操もあまり無かったから、体力面は強くなかったかも知れない。
 ボールを使う練習種目はそれ迄ジュニアでやっていたものに、1対1、2対1、3対2などか加わった。すべてキックオフで始めてゴールに向かう基本的な形式で、それ以外の横からとか後方からとか、いろんな所から来るボールに走りよってボールの争奪で始まるといった、試合中の一場面を想定した練習はなかった。私はフォワード組で、下手な上級生なら抜くことが出来た。
 2対1、3対2では、攻撃では三角パス、守備ではマーク、カバーリング、ワンサイド・カットなどを教わった。ワンサイド・カットは数人が円陣でパスを回す中に二人が入ってボールを奪うサークルカットと呼んだ練習でもやった。
 四角の地域の中での1対1、2対1、2対2とか、パスゲームはなかった。

シュート練習とコンビネーション
 シュート練習は、上級生のフォワード、ハーフとフルバック、ジュニア(一、二年生)の順で、前から来るボールをダイレクト・シュート、次にトラップしてからのシュート。ドリブル・シュートはなかった。最後はコンビネーションと呼んでいたチームとしての組織的攻守の練習で、システムはWMだった。初めは上級生のフォワードとハーフの攻撃練習で守備はゴールキーパーだけ。次に最終守備ラインのフルバック3人が守備側に加わり、最後にレギュラーのハーフが守備側に参加、攻撃陣にサブのハーフがついた。その間、一、二年生は見学で、ミニゲームなどはしなかった。

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