(89)§ハット・トリック、年間総得点生涯最多記録 近江 達
§ハット・トリック、年間総得点生涯最多記録
 ハットトリック9回(うち4点が2回)のうち、学生時代は20歳、京大一回生の同志社戦だけ。あとはシニアで68歳、76歳1回、74歳、75歳と今年(77歳)が2回。
 年間総得点は、学生時代の最多得点がインナー、ウイングをやった矢張り京大一回生の9点。シニアは65歳から左ウイングで8点、73歳からセンターフォワードが多くなって16点以上に増えたが、僅かな不注意など愚かな失敗が1試合に2,3本あったりして後悔と反省ばかり!1週間落ち込むことも珍しくない。そんな悔しさもあって年間総得点記録更新を狙うようになった。練習試合も含め年間約50試合。シニアは20分ハーフで一日2試合が多い。白線と暁、掛け持ちだと4試合目は足がつった。
 生涯最多記録は平成17年、76歳の26点。45分ハーフに直すと25試合になり1試合1点だから数字上はまあまあだが、ミスが多すぎた。30点以上ないと駄目だ。
 奇麗ごとでは得点出来ない。万一相手ミスやこぼれ球が出ればと鵜の目鷹の目で狙う。ボールにさわれないと焦る。どうせ入らないのだからこっちに寄越せば得点するのに、とこっちが思う下手な人でも本人はシュートしたくて懸命だ。パスする閃きもなく周りも見えてない。誰でも自分で得点したい。気持ちはわかるので黙っていた。
 シニアは通常、親睦第一で監督やコーチもミスあまり触れない。レベルやサッカー観、頑張りが違っても皆それなりに協調し合っているので、私もパス以外にチームの為に言いたい事が山ほどあるが、自分もミスがあるし何も言わなかった。
 だが歳月人を待たず、出場者中、私が最年長の試合が多くなってきて、最近は悩んでも仕方がないので、チャンスは結局運次第という心境なってきた。それでも何とか得点は増えたからマークが厳しくなった。ゴールに背面してボールを受けると、マーカーは何とか出来てもカバーしている選手にやられる。5年早く始めたかった。
§生涯サッカー、最後まで面白く!
 小学三年生、8歳のとき、担任の先生が1対1で遊んでくれたお陰でサッカー人生が始まった。サッカーは1対1からという執着もそこで芽生えたと思う。足技やフェイントが面白くて五、六年生の頃にはサッカーに向いているような気がしていた。中学、高校は今の恵まれた人々には想像もつかない日本が滅びかけた狂乱の時代で、軍事教練、空前のひどい食料難、軍需工場で臨時工員、空襲、敗戦に病気中断…十代後半、高校生で皆空腹を抱えて頑張った日々を思い出すと今でも胸がいっぱいになる。
 大学卒業時、50歳までは続けたいと思ったが、病後再開から13年、シニアが現役時代を越えた。サッカーはもはや自分の一部、試合を見るよりプレーしたい。日暮れて道遠し!少しでも上手くなろうとまだ試合に出ている。しかも考えた事もなかった一番不向きなセンターフォワードだから妙だ。何しろ昔、中一、12歳の初試合で一度やっただけ、その後全ポジションを回ったから60年ぶりにオールラウンド・プレヤーの振り出しに戻ってきたわけだ。シニアサッカーは年々盛んだが欧米は50歳が限度。70歳以上は世界で日本だけ!お陰で私も一生無縁だったであろう得点記録にこの年で挑戦できた。クラブの方々に感謝したい。やがて78歳、あと何年できるだろう?もう記録にこだわらず最後に思う存分やりたいように面白くプレーして終ろうと思っている。

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