[WORLD CUP 特別編]2006年ドイツ・ワールドカップの日本チーム 近江 達
[侍ブルー]
 応援空しく日本は敗退。マスコミの盛り上げ方はいくら商売とはいえオーバー過ぎた。侍ブルーとは外国人が言ったのだろうが、日本の若者と侍は何の関係もない。サポーターたちは浮かれてしゃべっていたが、ブルーとは淋しい憂鬱なことだ。結果はそのとおり、ブルーな侍(日本選手)になったわけで縁起でもない言葉だった。

[私の予想]
 何もかも全てがうまくいった時でないと得点はできない。たぶん全敗。最高で1勝か1分、その相手は上手いといわれるが、私にはあまりよくないように見えたクロアチア。オーストラリヤはFIFA順位は低いが、それは日本が勝てるいつもの国内選手のチームで、今回のメンバーは全く違う。殆ど国外組、しかも10人以上がイングランドでプレーしているとわかった時、これは拙いと思った。激しい体力体格勝負になり総合力は日本よりも上に決まっているからだ。

[客観的に見た日本のレベル]
 海外に何人も出ているが、活躍しているのは小野、俊輔、松井。中田でさえ今はレギュラーではない。全員ほぼ中盤でFW、DFはいない。
 Jリーグ発足以来、総得点上位は外国人、それも一流とか有名な選手ではない。日本人は少ない。海外組の日本人の得点は稀だ。優秀だからと目をつけられて海外に呼ばれても、一流どころでは中盤以外、あまり使ってもらえない。それが外国から見た日本人選手のレベルで、DFは問題外、得点力のない事がはっきりわかる。

[日本チームのメンバー]
 ジーコの人選、選手起用、交替に誤りがあった。誰でもわかったのは柳沢。前回ワールドカップで私は得点についての彼の考え方も指摘し育成法まで非難したが、何故彼を使うのか不思議だ。DFもFWもほかにいい選手がいると思う。体調の悪い俊輔を休ませ小野を使い、FWもどんどん変えるべきだった。
 とはいえジーコが勝てると言った事が全く荒唐無稽だったとは思わない。勝敗は時の運。オーストラリヤ戦でもう少し要所をしめれば勝てたか引き分けられた。クロアチア戦は得点して当然で勝ったはずだ。よそがレベルアップしたのに日本選手が未熟で失敗したのだから、全責任がジーコというわけではない。ただし出来てもよかったのに何故、という低い次元の話だが。ジーコは少年サッカー指導者の方が向いているかも知れない。

[今後の課題]
 強敵相手で個人技の不正確、巧さ不足、プレーの幅やテリトリーの狭さなど欠点が全部露呈。国内とアジアでは通用したがWカップでは見劣りした。長所は成功した連係突破。だが回数が少なすぎボール回しばかりで積極性がなく、守備で消耗し攻撃を反復できる体力もなかった。敗北を決めたのは得点失敗。萎縮し堅くなり焦り過ぎで、技能に自信がないとそうなり易く、機敏に狙ってシュート出来ない。外国人の力強さと比べると大人と子供!ここという場面で冷静、度胸、図太さが欲しかった。
 日本選手はサッカー的にも人間的にも、もっと技能に自信があるしっかりした、いわゆる大人にならないといけない。それだけの技能が必要だ。そしていい意味で思い切り暴れまくる、どんな場面でも積極的に自分の全智全能力を出しつくせる選手になって欲しい。ジーコもそれを求めたのではないか。サッカーは選手が作り出すもの、それが世界の常識だから、外国人はそれぞれ如何にも彼ららしい大人のサッカーを見事に構成展開した。でも日本選手は未経験だったので中学生みたいと酷評された程度のサッカーしか作れなかった。今回のように成人してからでは駄目だ。子供の頃から心身の成長と並行して自立して自分で考えてお互いのアイディアでゲームを進めていくように、体験体感的に十数年かけて育てていかなければならない。協会と指導者各位に期待したい。

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